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以下、ささやかなプチお礼小説です。良ければご覧下さい
 地下に設けられた一室には、キーボードを叩く音だけが静かに響く。
画面内に敷き詰められた読み切れない程のプログラムコード。
哀はその画面とひたすら向き合いながら、手元を忙しく動かした。

 時折手を止めては時計に目を落とす。――十一時を少し回ったところだ。
哀は、椅子の背もたれにもたれると息をついた。朝食を終えてから、休む間無く作業をしている。

(――休憩も必要ね)

 コーヒーを煎れて来ようと椅子から降りると、そのままドアを開ける。
だが、その瞬間、頭上で聞こえてきた爆音に哀は思わず肩を震わせた。
その後、眉を寄せて上の階を見上げる。視線の先に見えたのは小さくくすぶる煙の塊。

「……また」

 ため息交じりに呟いて、哀は肩をすくめた。
そのままゆっくりと階段を上がり、慣れた足取りで突き当たりまで歩くと、ドアを開ける。
開けたドアの裏に哀が隠れるのとほぼ同時に、中にこもっていた煙が勢いよく飛び出した。
煙がようやく治まった頃に、哀はドアの後ろから中を覗きこんだ。

「博士、大丈夫?」

 心配ではない。最初こそ本人の身体を心配したものだが、いつからか見慣れた光景に、最近は呆れ返る一方だ。

「まったく……。何度煙まみれになったら学習するのかしら。
 慣れないタイプの実験する時は手順確認しなさい、って言ってるでしょ?」

「……いやー、スマンのォ。確認はしたんじゃが、読み違えっとってな」

「そういうのは確認したって言わないの」

 むせ返りながら苦笑いして部屋から出てくる博士に、哀はため息交じりに返す。
その言葉に力なくうなだれる博士を横目に、哀は部屋の内装を見渡した。
実験をしていたと思われるテーブルの被害状況は見るまでもないが、
爆発の被害は周囲の壁やカーテンの一部にも及んでいた。

「いい加減にしないと、本気でこの家吹っ飛ぶわよ?」

「……すみません」

 怒りにも近い視線を投げられて、博士は小さく呟いた。



「じゃが哀くんは、実験しても爆発は起こさんな」

「……一緒にしないでくれる?」

 部屋の掃除は後回しにして、とりあえず休憩を取ろうと、
二人はコーヒー片手にソファへ腰かけていた。
実験内容の何が間違っていたのかと、振り返っていた最中、
ふと博士が言い出した言葉に、哀は露骨に顔をしかめた。

「そりゃ、爆発させるなとは言わないわよ。
 分量を少し間違った程度で起こるものだってあるし。
 ただ、それを出来る限りなくすための確認作業を念入りにすれば、
 その爆発だって最小限で済むんだから、そこさえ気を付ければ何とかなるってだけ」

 無関心そうに言うと、哀はため息をつきながら、コーヒーカップをテーブルの上へ置いた。

「学校でするような実験ですら多少の危険はあるものよ。
 でもね。博士がやってるような実験は、そんな簡単なものじゃないでしょ?
 当然、危険度は高くなる。大怪我してから後悔したって遅いのよ?」

「大丈夫じゃ!いくらなんでも、そこまでの失敗はせんからのォ!」

「……さて、どうかしら」

 満面の笑みでガッツポーズをしてみせる博士に、哀は呆れと疑いの目を向ける。
だが、その哀の反応に博士は意外にも自信満面な表情を崩さなかった。

「少なくとも哀くんがおれば大丈夫じゃろ?」

 思わぬ言葉に、哀は驚いた様子で目を見開くが、すぐに表情を戻すと、意味ありげな様子で博士を見上げた。

「――博士。おだてたって部屋の掃除は手伝わないわよ?」




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